本来、金継ぎとは破損した陶磁器やガラス・漆器などを修復し復元する技術で、ひび割れた部分などの水漏れとニュウ(ヒビ)の進行を防ぎ、破片が無く欠けた部分を穴埋めしたり、さらに修復された部分を美術的な観点より金粉(消粉)を蒔くことを言います。
昔は金具の鎹(カスガイ)で止めることから始まり、日本では古くから漆による工芸が発達していて、ヨーロッパでは「Japan」と漆の代名詞になるほどで、その手法を取り入れ接着やコーティングし金を蒔くという技法が発展したのだと思います。
金を蒔かずに着色料で疑似塗装を行うことを金継ぎと判別して共修理・共修復と言われていました。
また、金は体に無害とされ古くより他の金属と区別し、茶道や懐石の食器など口にする器などに多く使われているようです。
金継ぎ種類としては下図のように、
・「共継ぎ」割れて離れた破片どうしをつなげる
・「呼継ぎ」似た別々の破片をつなげ形を作る。
・「ヒキ止め」ひび割れた部分をつなげ、それ以上のひび割れ進行を止める。
・「穴埋め」破片が無いところ、焼き切れで隙間が出来たりしたところなどを埋める。
・「メカケの金直し」使っているときに口縁部が欠けたところを埋めて金直しする。
金継ぎの歴史
その昔「馬蝗絆」という茶碗がありました。その茶碗は平重盛が12世紀の時代に中国の人より贈られました。
その後、室町時代15世紀に将軍足利義政の所有となります。足利義政はその茶碗の底にひび割れがあったので、これに代わる茶碗を求めて中国に送りました。中国ではこのような優れた青磁茶碗は今は無いとのことで、その茶碗のひび割れを鎹(かすがい)で止めて日本に送り返してきました。
これが焼き物を修復し復元させるという発想の原点と伝えられています。
合成樹脂レジン(エポキシ樹脂)を使う理由
植物の中で野菜と違って樹木は木の表面の方が生きて活動しています。
樹皮が傷つくと、傷ついたの部分を守ろうとして樹脂を出します。漆の木やゴムの木が樹脂を出すのは其のシステムの作用です。
そんな植物たちの資質などが太古の昔、地に埋もれ石油となっています。その石油から取り出して接着剤や塗料などを作り始めたのが1950年代より、いわゆる石油科学が発展したと思います。
今生えている自然の漆より取り出す樹脂か、太古の昔に石油になった植物の資質をとりだした合成樹脂の違いですが、合成樹脂を作り出すときにどのようにすれば重合して堅くなるのかを研究されてきました。それが石油科学です。
合成樹脂の方が温度や時間、または調合方法により安全で安定した樹脂成分が得られます。
現代ではその研究の発展で色んなところで使われているエポキシ樹脂、ビールの缶の内装だったり、テーブルや家具の塗装だったりで、使い方を間違わなければ優れた樹脂になっています。
そんなエポキシ樹脂を使い、漆に負けずと劣らない金継ぎを行っています。金継ぎの技法はほとんど漆器の技法にならっています。